アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

【邦画ログ】アズミ・ハルコは行方不明/私も自分を行方不明にしたい

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アズミ・ハルコは行方不明
松居大悟監督作品。「私たちのハァハァ」がめちゃくちゃに良かったのでジャケ買いならぬ監督買いのようなものです。相変わらず日々の描写が上手くて、車でドラッグストアに買い物来た時の、財布と車のキーを一緒に持った手に買い物カゴぶら下げてる所とかが良い。あと高畑充希ちゃんの「すぐやらせてくれるけどめっちゃウザい」ギャルの感じがあるある過ぎて好き! 「私いまめっちゃ人に飢えてっから! 友達疲れるし彼氏の方が楽~。でも私いま彼氏いないし~絶対連絡ちょうだいね。ていうか愛香からするかも!」のシーンで100人中100人の男子がやれる認定するでしょ。間違いない。なんとかひゅーいって人が生理的に無理な顔で残念だった。
このひゅーいさん演じる同級生の蘇我とのセックス描写がまた胸糞だったんだけど、お隣さんのアズミハルコを呼び出す→呼び出したクセにグダグダな態度→アズミハルコ「じゃあセックスでもする?」→蘇我「は?」→アズミハルコ「は?じゃあなにしに呼んだの?……もう帰るわ」って帰ろうとした途端ソファにうずくまってウァーーーと呻く→蘇我「したいです……」(ここの言い方気持ち悪かった〜)→つってグダグダなままセックスに持ち込もうとするクセにゴムないとか言って、アズミハルコに「お前持ってないの」って聞くし、そこは持っとけよクソかと。
「いーよ外に出してよ」って漢らしいセリフを吐くアズミハルコの前で「調べる、代用品とか……」ってiPhoneシュッシュってさわる蘇我がマジでガキみたいで寒気した。お前は中坊かよ。代用品ってなんだよラップでも巻くつもりかアァン?
ここまでグダッとして結局中折れか勃たないか知らないんだけどセックス中断というおマヌケ展開だし本当に本当に本当に男としてなんの役にも勃たないもとい立たない蘇我。クソかよ。
と、蘇我への苛立ちが爆発しました。ダセェ誘い方しかできねぇのにチンコも勃たねぇとかお前は!お前はだからそんなんなんだよ蘇我!!蘇我!!!!

高畑充希ちゃんは馬鹿で頭も股も緩くてどうしようもない恋愛体質でうざいけど、キャバクラの休憩中、相手が「実は子供出来たんだ」と告白したら、あわてて吸ってる煙草を揉み消すくらいはマトモな子だから、可愛くて仕方なくなる。ちょっとした描写なんだけどその人の性格が出るところ好きだな。
全体的にうざったい人間しかいなくて、胸糞悪いエピソードが多く、アズミハルコが働いてる小さい会社でのセクハラ描写は灰皿ぶん投げたくなるほどクソウザイ。ああいうセクハラ発言する男の人ってほんとにいるの? って思うでしょうが、これが現実にいるんですよ、馬鹿みたいだけど。
「知ってる? 卵子って腐るんだよ」なんてこと、女から言われてもうざいのに、男の上司からなんてころしたくなんない? 私は四つ年上の独身女性から言われました(地獄じゃん?)お酒の席で酔った彼女に腰の辺りをボコボコに殴られながら絡まれ続け、最終的に「うるっせぇな~!」と言ってしまったことがあります。相手がべろべろに酔っていたから助かったよ。

27歳のアズミハルコと37歳の先輩のお昼休み中の会話
「私手取り13万ですよぉ?」
「私17万だよー」
「ええぇー」
が大好き。

クソみたいな社長と上司の「手書きで書いてね~、誠意が伝わるからね~」のセリフには笑った。土でも食って死ねと言いたい。女子高生ギャングのシーンは願望だよね…。結局女子高生って正義だし、いつだって自分のために地球は回ってる感丸出しで生きていて欲しい。女子高生は素晴らしい。田舎で生きていくっていう意味、閉塞感をビンビンに感じて死にたい人におすすめ。それにしても蒼井優ちゃんの、共演者皆と噂になる恋多き女優さん像は最高だよ。女優ってこうでないと。

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【邦画ログ】「何者」朝井リョウ/大根役者でいいとして

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朝井リョウ原作の映画「何者」は観たら自意識が死ぬよ。と聞いていました。
死ぬよ? 一人残らずもれなく死ぬよ? 例外ないよ全員死ぬよ? と聞いていました。
死にました。

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原作も読んでいました。
シーンひとつひとつが、というより、一分一秒すべてが痛い。つらい。もう観るのやめたい。
最初に拓人と先輩が話してる時のモブ女のセリフ「演劇?でしたっけぇ」の「演劇?」の語尾上げのウザさが最高。その黒縁伊達眼鏡ボキボキに粉砕してやろうかって思うよね。語尾を上げんじゃねえ。語尾を。二階堂ふみちゃん演じる理香の初っ端の印象も良い。明らかにプライド高いだろうなっていう話し方にエピソードに、「意識高い系」に日々辟易としてる我々は、もう腹の底がムズムズして仕方なくなるのです。「そんなことないよ~」って絶対否定しないんだよね、その場しのぎの社交辞令も「ニコッ」て受け止めやがる。「ニコッ」じゃねえよ、と言いたい。後半、理香のセリフにも「演劇?」が出てきて、良かった。

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拓人の裏アカウントがばれていることが発覚した後半(拓人VS理香というド修羅場)からの、今までのシーンの振り返りは「もうやめて! 拓人のライフポイントはゼロよ!!」と叫びたくなりました。つらい、心がとても痛い。三浦大輔さんの舞台「恋の渦」の時のような、(なんて言うんだろう? よく分からないけれど)室内を箱型にして、真横から見たかたち、まさに演劇の舞台になっていて、その見せ方がすっごく面白かったです。演劇の舞台、ステージの真ん中で大勢の観客から拍手を受ける場面。顔を上げた拓人の目に瑞希の姿が映ることで、瑞希も拓人の裏アカウントをチェックしていたことが分かるシーンが好きです。まさに拓人劇場! 拓人オンステージ!

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鳴り止まない拍手には、スマホフリック入力音(チキチキチキって音)が重なっていて、イヤだわ……! ってゾワッとしました。
また、このフリック入力音は機種の世代によって変わっていくけれど、現に今のiPhoneから一つ古い世代の入力音だったように思う。「何者」が直木賞を受賞した際、朝井リョウが自身のラジオで、自分の小説について「内容にツイッターとか出てくるし、(選考者に)最後まで読んでもらえないんじゃないかと思ってた」と述べていました。今まさに若者の自己表現の場として当たり前に普及しているツールを作品の中に出すことで、バージョンなどが理由で作品に「古さ」「世代感」が出てしまうのも、現代の直木賞作家が描いた映画作品だということを強調しているなぁ思いました。


「光太郎は、自分の人生の中にドラマを見つけて、そのドラマの主人公になれるんだよ。いちいち現実のことを考えなくちゃいけない私なんかが邪魔しちゃいけないって思ったの」

瑞希が光太郎を好きな気持ちを吐露したこのセリフを聞いたら、もっとこんな風なきちんとした気持ちで他人のことを想いたい、と落ち込みました。

「一分間では話し切れません」からのエンドロールが清々しかったです。ちなみに、光太郎が会いたい人=翻訳家を夢見て海外に行った女の子、の「何者」のスピンオフ短編「水曜日の南階段はきれい」は、「何様」という単行本に入っています。
朝井リョウのお話の中で一番好きな短編です。


何者

何者

何様

何様

ドラマ「あなたのことはそれほど」いくえみ綾/柴犬牙を剥く

いくえみ綾の大ファンです。
あなたのことはそれほど」がドラマ化すると聞いて、楽しみにしていました。

よ、予想していた以上に涼ちゃんがこわい。

キャスティングと一話の「結婚式で逃げ出そうとするカップル(いわゆる映画「卒業」みたいなの)」っていうシーンを観た時点で、「あー別にいくえみリスペクトというワケでもなく不倫モノのドラマやるのにちょうどいい原作あるからこれに乗っかろって感じね…」という想いは、いくえみファンなら抱いていたと思うのですが……。
(なぜならいくえみならあんなシーン絶対書かないと思うから)(たぶんね)
思ってた以上に東出くん演じる涼ちゃんがこわい。こわいっていうか東出くんが怖い。

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まず、涼ちゃんを表す「小熊」→「柴犬」の改変は、すっごく良いと思う! 東出くんは小熊って感じじゃないもんね。
例え結末がまるっと変わってしまっていようが、作者が伝えたいことがねじ曲がってなければオッケーだとは思う。原作に忠実に、ではなく、原作に誠実に! という名言をどこかで見ました。とってもその通りだと思います。

あとよく感想で「美都が最低過ぎて共感できない」「波瑠のイメージが悪くなる」「有島ってそんなカッコいいか?」「嫁の妊娠中に浮気とかクズじゃん…そんな奴に惹かれるとか」ってのをよく見かけますが、原作からして登場人物に誰にもいっさい共感できないので、その感情は全てその通りだと思います。むしろドラマの方が良いところとか見出しちゃってる。原作の方が波瑠はもっと最低で、なんにも考えていない頭ゆるくて股だけ開いてるどクズだから、むしろ波瑠ちゃんの爽やかさに助けられてるとこある。

それでもやっぱり美都の

「いっそ涼ちゃんが私のこと嫌いになってくれたらいろいろ楽なのになあ」
「軽くつぶれそう」
「他人の子供なんてちっともかわいくない」
「子供欲しくない、今じゃない、ずっと」

というセリフは、実際人間のセリフとして聞いたらゾッとしたし、レストランで涼ちゃんが美都に「僕はまだ大丈夫だ」「君が夜中に名前を呼んだ番号を僕の携帯に登録した」「これが僕のプレゼントです」という、おったまげサプライズプレゼントの内容を大暴露する例のシーンでは、柴犬がぐりんぐりんに牙を剥いていて本当に最高だった。

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基本的に、原作でも「有島と美都は再起不能になるくらいボコボコにされて一緒に死んでほしい」と思われるに値するクズっぷりなので、ドラマを観て抱いたその気持ち、間違いじゃないよ!
原作では後半麗華に精神的ボッコボコにされてボロボロのズル剥けになる有島も見られるのですが、正直それくらいじゃ浮気の代償にもなんなんしとにかく有島には即座に死んでほしい(美都、お前もだ)という気持ちに、さらにさせられます。間違いじゃないよ、その憤り。
このようにこの漫画「あなたのことはそれほど」は、登場人物の誰に感情移入しても結果死にます。なので、ここはもう東出くんのキレッぷりと麗華の反撃に期待するしかないよってことなんです。本当に、「あなたのことはそれほど」をここまでクオリティの高いドラマにのし上げてくれてるのは、東出くん演じる涼ちゃん、きみに他ならないよ! と拍手を送りたい。

美味しかったもの、まだまだ行きたいところ。

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いたわさ作ってる時の図工感。


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五味箱。西宮のお好み焼き屋さん。
サイドメニューの美味しさにおどろく。もちとチーズを入れたい。
https://tabelog.com/hyogo/A2803/A280301/28017490/


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ワクワク感すごいよ。カラフル。


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今まで食べてきた中で一番おいしくて安い焼肉屋さん。
高くてうまい店は当たり前なんで値段を安くしてからかかってきなさいよね。
https://tabelog.com/hyogo/A2801/A280109/28021963/


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美味しかったもの、また行きたいところ。

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ハリオのガラスポットは冷蔵庫の扉にもしまえるし使いやすいし便利。


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お土産にもらった。関西ではようやっと5/8発売らしい。


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圧力鍋の本気、安納芋の黄色が凄い。


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角煮で圧力鍋の本気をみた。


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京都のホルモン千葉。寝不足でアタックして序盤で戦線離脱した苦い思い出。
リベンジしたい。
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京都BAKEのソフトクリームは絶対なにがなんでも食べないと。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26027461/


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ぎょうざ処 高辻 亮昌 本店
「餃子の味の良し悪しがわからない」と彼に言われて同意した。
餃子どれ食っても美味い説……。
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26017170/


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ココアビスケットだけ売ってくれよ。値段が高い。


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おにぎりめちゃデカくなる、美味しい。

【邦画ログ】「もう愛してない。ひとかけらも。」永い言い訳「子育ては男の免罪符」

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永い言い訳西川美和

良かった。すごく良かった。
オープニングの出演者の一文字だけチカチカ灯る演出も、タイトルの入り方も、すべてが好きです。
初っ端から溢れ出るモッくんのクズさね。あと宗教の勧誘的な留守電を残す木村多江さんの声ね、こわい。「ぐるりのこと」の木村多江さんの演技を思い出しました。あとはモッくんにブチ切れる編集さん、岩井秀人さん。素敵です。
本木さんと黒木華ちゃんのベッドシーンは二度目の方がエロいと思います。ソファの上で脚にパンツ引っ掛けたままの華ちゃんが良いよね。「馬鹿な顔」って言われるモッくんもだけど、嫁が死んだ不倫相手の家にノコノコ来るこの女もじゅうぶん馬鹿なんだよなぁ。
「そんなつもりで来たんじゃない」と嫌がる華ちゃんにチューしながら「じゃあどういうつもりなの? え?」とせまるモッくんが本当にキモくて最高でしたね。
(いやでも「そんなつもりじゃない」って馬鹿かどんなつもりだよってなるよね、ノコノコ来ておいてそりゃないだろ、いいから股ひらけコラ、という気持ちも分かる)(不倫をワンランク上の恋愛と思ってドヤ顔してる女が大嫌いなのでトゲがあります)
子役の子が可愛い。親子丼を食べながら絶妙な表情をしている女の子が可愛い。兄妹喧嘩を仲裁しきれないモッくんの図。


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カメラの前でとち狂ったモッくんを引きずり倒して、胸に抱えて水を飲ます池松くん、君はなんて有能編集者なんだ。「どうしたらいい…」と、途方に暮れる言葉を吐く人間に対して即座に出た返事が「考えましょう」だよ、社会人として、大人として、こんなに信頼できる人いないよ。惚れるわ。
「子育ては男の免罪符」この台詞を生み出す西川美和さんは何者なの。果たして女性が考えて出る台詞なのか? おそろしくてこわくて凄い。

永い言い訳 (文春文庫)

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