アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

「そして父になる」ネタバレあり

「そして父になる」観てきました。以下、内容のネタバレがありますのでご注意ください。







この映画を観るにあたって、観客が一番気になるのって結局のところ「子供は交換するのかしないのか?(血を取るのか、時間を取るのか)」ってことだと思います。思っていました。観るまでは。でも実はこの物語の真意はそういうことではなく、タイトルがすべてを表していて、「父になる」という部分がメインなのだと気づきました。最終的にこの映画では、子供を取り替えたのか取り替えていないかという結末ははっきりと描かれていません。つまりそういうことなんだなーと思います。親が子供を選ぶのではなく、子供がどうしたいかを一番に考えるのがこの物語の結末なんだと感じました。

で、とにかく福山雅治がかっこいい。かっこよすぎる。相手にかぶせるような喋り方とか、笑顔だけどどこか子供と同じ目線ではない態度とか、仕事の出来るかっこいいパパ役ハマりすぎ。終盤、家族仲がうまくいかなくてソファで眠りこけちゃうシーンとかあるんだけど、嘘みたいにかっこいいの。その隙がまた大人の色気醸し出しまくりなの。今までスーツでビシッと決めて、お風呂だって子供と一緒になんて入らないし、甘やかすのはママの尾野真千子に任せっきりだし。あの、一眼レフの写真データを見つけて涙するシーンが、元々は撮影する予定じゃなかったって聞いて驚きました。真木よう子さんが是枝監督に「撮らないんですか?」って聞いて、いろいろ話してとりあえず撮るだけ撮るかってなって撮ったら撮ったでいいじゃんって考え直したらしい。他にもそんなシーンがあると聞いて、「真木よう子、GJ!!」って感じなのです。福山雅治が琉星くんの「なんでなんで攻撃」にたじたじしてるのも良かった。

独身で子供のいない自分がこんなに感情移入してぼたぼた泣くんだから、同じくらいの年齢の子供を持つ親の人は観ていて耐えられないんじゃないかと思います。劇場では六十代のおばさま世代も多く、笑うシーンで和やかな空気になる感じがとても良かった。あとやっぱりその世代の人は「産みの親より育ての親」が当たり前にあるというか、ぼろっぼろに泣いてる人はいなかったイメージ。「良かったわねぇ…」ってしんみりしてる感じ。

以下はお気に入りのシーンを箇条書きで。


■両家と病院の関係者、弁護士とともに話し合いをしている時、琉星が「バーン!」ってふざけておもちゃの銃で撃ちに来た時、大人たちがいっせいに話を中断してちゃんと「うわああぁー」ってやられる振りしてるシーンのあの空気がかなり好き。脱力(笑)真木よう子は「コラ!」って怒り、福山雅治は一応避けるように?頭をぎこちなく斜めに動かしてるのか面白かった。

■「二人とも譲ってもらえませんか」と言った福山雅治に対して怒ったリリーフランキーの行動が殴りかかるとか胸ぐら掴むとかじゃなく(のちに掴んでたけど)、べちん!と頭をはたくところが可愛かった。

尾野真千子福山雅治、琉星で釣り竿買ってマンションからスカイツリー釣りして遊ぶシーンは「これが上流階級か…」ってなった。貴族の遊びよ。

■息子交換の日の前夜、チキンをがじがじ食べながら「向こうのお家言ってもピアノやるー?」って福山雅治パパに聞く慶多可愛すぎてしんだ。

■自分よりも格段に上手にピアノ演奏をする同じ年頃の子を見て、素直に「上手だね」と言う慶多と、お箸の持ち方を指摘されてお風呂でおもちゃで遊びながら練習する琉星。向上心は低くとも相手を思いやる気持ちのある部分と、言われたことをちゃんと直そうと努力する気持ちがすぐに行動に出る部分の比較が分かりやすくていいなぁと思った。

■父の日にあげたバラの花をなくしちゃう(のちにソファの隙間から発見)→カメラでパパの写真を盗み撮りしてたのに気づかれない→自分のことを迎えにきてくれたと思ったのに琉星の名前を呼んだ(拗ねて押入れの中へ入る)→で、「約束破ってごめんな。パパ会いたくなったから来ちゃった」って言われてからの「パパなんかパパじゃない!」の台詞ですよ!慶多我慢したね!偉いよー偉いよーって泣いた。持ってき方が凄い。

■慶太が盗み撮りしてた写真を発見して泣く福山雅治のシーンが自然で素敵。尾野真千子に後ろからおはようって声をかけられて思わず声がうわずってしまうところ、福山雅治ファンでもないのにきゅんときてしまった…!で、そのあとの尾野真千子の優しい声での「ご飯食べる?」の台詞がじんわり。

■掃除機をかけてる尾野真千子の後ろから琉星がおもちゃでバーン!ってしてじゃれあう二人→福山雅治が自室にいると聞こえてくる二人の笑い声→「次はお父さん!」という声が聞こえてきて一瞬考えてから、ペンたての定規とかリモコンとか手に取って武器を探す福山雅治、の流れに和んだ(笑)

■キャンプセット買ってスカイツリー釣りしたり、リビングでテント張ったりとかして、あ、心の距離縮めてってんだなーってシーン流してからの琉星がお星様に願い事を言うシーン。「何お願いした?」と尾野真千子に聞かれて「パパとママのところに帰れますように」と言うところ。そのあとすぐにパッと手のひらで顔を隠して小さく「ごめんなさい」と謝る琉星に、泣かされました。だーだーに。いきなり本当のお父さんとお母さんだよって言われて、一緒に過ごして段々仲良くなっていったとしても、そりゃあパパとママに会いたいに決まってるよなぁ我慢してたんだよねーって切なくなった。あれは辛いわ。

■友人の弁護士が福山雅治に「お前人に愛されたいのか?」と言う台詞は、是枝監督の脚本にしてはなんかわかりやすく素敵な言葉!と驚いてなぜかドキドキした(笑)こういう台詞嫌いじゃない、むしろ好き。

■冒頭から聞こえてくるのは静かなピアノの旋律。そのまま流れるようなBGMに乗せて、スムーズな流れで子供取り違えという事実にたどり着く。挿入の音楽に邪魔をするものがなにもなくて、すごく心地がいい。福山雅治家族の上流階級さと、リリーフランキー家族の下町感。お互いの家庭環境が全く違うところの比較がすごく分かりやすい。余計な説明を省いてストーリーが進むことのストレスのなさが気持ちいい。

リリーフランキーの財布がバリバリテープなの吹き出しそうになった!!

■観客のおばちゃまたちの樹木希林への安心感安定感が凄い!(笑)場に出てくると和む。大女優の、そこにいるだけで場が持つってことの意味を知る。

■小学校入学の時の制服を着た慶多を見た樹木希林リリーフランキーが揃って「どっかの国の王子様みたい」と褒めるシーン、同じこと言ってる(笑)ってウケた。

■子供たちと遊んでるリリーフランキーに「交代してー!りょうたさーん!ちょうちゃーん!」とちゃん呼びされて素直に怪訝な表情になる福山雅治わろた。

■ほんっと福山雅治、だめよ!さいていよ!ほんとだめなところばっかり。でも父になる。そういうことかーー!!!って涙流しまくりました。

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