アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

カソウスキの行方/ポトスライムの舟/歩くような速さで/まともな家の子供はいない

 

カソウスキの行方

カソウスキの行方

 

 「カソウスキの行方」津村記久子
読み終えた日:2014/04/05
★★★☆☆
装丁が名久井直子さんだったという衝撃(笑)ライン工場勤務の女性のリアルさがすごいと思う。淡々とした日常だけど、何にもないのが人生だよなぁと思う。イリエも変な奴だな…。ほかの二作は普通だった。

 

ポトスライムの舟

ポトスライムの舟

 

 「ポトスライムの舟」津村記久子
読み終えた日:2014/04/08
★★★★☆
十二月の窓辺がすごい。二編目の「十二月の窓辺」という、上司からのパワーハラスメントに耐える社員の話があるのですが、作者さんは実際にパワハラにあい九ヶ月で会社を退職した経験があるそうで、これがなかなかリアルで読むのが苦しく、途中で憤りを感じて本を投げつけたくなるような描写もありました。そして思う。その程度がここまで大きくはなかったけれど、前職でもこういうことはあったよなぁ、と。多かれ少なかれこういうことはどこにでもあって、誰もが経験したことがあって、だからと言って耐えろというのもおかしい話だよなぁと思います。頭のおかしい人は世の中にたくさんいて、そんな人間の言うことを真に受けていたら精神がいくつあっても足りないんです。例えメンタルを強く持っていようとも、言葉は呪詛だから、人間性を否定するような暴言を吐かれればそうじゃなくてもそうかもしれないと落ち込みます。だからそういう人間はしんだものと思って、適当にあしらえばいいとおもいます。頭がおかしいんですから、奴らに言葉は通じません。あと、逃げることの何が悪い、とも思います。逃げることは全然悪じゃないし、もし自分の友達や家族大切な人がそういう状況にいるのなら、迷わず逃げろと助言したい。「その程度」と「限度を超えている」の違いは、体調に変化が出ることだと思います。食事ができない、胃が痛いなど身体のどこかに不調があった時は一つのサインです。かくいう私もキャパオーバーの仕事量の毎日に円形脱毛症ができたことがあり、これが前の職場を退職する決め手になりました。その決心も実行するのに一年かかりましたけど、こんなことは親にも言えなかった。なんか、すっごい真面目に考えてしまって、そうまでさせるこの作者さんのことがもっと好きになりました。世の中ってほぼ理不尽なことで形成されていて、生活にはなにかしら不満があるけれど、その中の小さな小さな幸せに身を浸して生きるのも悪くないな、と思います。

 

歩くような速さで (一般書)

歩くような速さで (一般書)

 

 「歩くような速さで」是枝裕和
読み終えた日:2014/04/10
★★★★☆
大好きな是枝さんの考えてたことが読めて満足。難しくなくやさしい文章を書く人だ。するっと読めて頭の中に入ってくる。好きな文章。説明がわかりやすい。

 

まともな家の子供はいない

まともな家の子供はいない

 

 「まともな家の子供はいない」津村記久子
読み終えた日:2014/04/16
★★☆☆☆
あまり好きじゃないかな~。でも、14歳という時期の意味のないいらいらや所在のない感じはすごく好き。まともな家の子供はいないのだな、と思った。世界のすべてが敵のような気がしていた。より所がないのは辛いことだよね。夏の宿題集めがちょっとしたミッションになってて笑った。