アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

【邦画ログ】「くれなずめ」

松井大吾監督の「くれなずめ」を観ました。
この映画で藤原季節さんという俳優を知りました。何回忌かの帰りの、雪の日の駅のシーンがめちゃくちゃよかったです。落ちた。「お菓子貰いに来たわけじゃないのに、お菓子貰いに来たみたいになっちゃって」のシーンの涙は、きっとネジには見えていないんだろうな。寂しさを共有したくて、だけど言葉が見つからないから他愛もない言葉を放ってしまう、こうして一つのシーンにされるとぎゅーっときてしまう。松井大吾の脚本は、誰にも言っていないはずのこの気持ちをどうしてこの人は知っているんだろうか、と思う。そういうセリフを書く人。
胴上げして召させようとするシーン、暮れなずんでる五人の間から斜めににょきっと出てきて挟まるよしお、三人で眠る前に話す「好きな人できた?」の夜、おでんの屋台でぎゅっとなった二人とか、すべてのシーンのパワーがとてつもない。ウルフルズの「それが答えだ」が大好きで(この曲のイントロは最高)、余興のダンスシーンはかなりグッときた。アウトロでジャニーズみたいにスン…ッてしたラスト締めるのやめろ(笑)と笑いました。心臓のシーンが始まったら「さっきまでの涙返せよ」とスッとなりましたが、それも含めてすべてが素晴らしかった。タイトルバックも、ずるすぎる。

男子版の「くれなずめ」、女子版の「私たちのハァハァ」だな! と思う。「くれなずめ」もう一度見たいんだけど、そろそろ上映が終わりそうで上映が朝早くしかなくてどうしよう。