アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

【漫画ログ】「スキップとローファー」

一巻を読んでてっきりよくある学園青春モノストーリー……、と思ったら、そんな簡単な少女漫画じゃなかった。そもそも、電子書籍で購入したため単行本を実際に手に取ってなくて、月刊アフタヌーン連載の作品だってことに最近気がついた。

思春期の学生たちが自分と違う価値観に出会い、知った時、相手が異性だから容易に好きになって付き合うとか付き合わないとかそういうただの恋愛少女漫画の展開になるのではなく、相手を通して自分自身の内面と対峙する物語だった。学生時代に意味もなく苛々したりもやもやしていた気持ちが言語化されて、「こういうことだったんだな」とあの頃の自分を認められるような、意外と大丈夫だったんだよと言ってもらえるような気がした。そういう漫画。

「相手を想う気持ち」が伝わってくる描写がすごく胸にキュ〜っとくる。そんなエピソードが多い。ちょっと気になる人とのふたりでのお出かけで、頑張っておしゃれやメイクをするけど、相手のほんとうに何気ない一言で気持ちがぽきっと折れちゃうか弱さも、他人の優しさに感謝したいけど素直に口にできない気持ちとか、もう、キュンッッキュンしてしまう。ある巻である人物が主人公の女の子に対して、自身の子供の頃を重ね、「君がいて高校生活ちょっとおもしろくなったけど 海とか山に囲まれた場所のほうが似合ってる気もする 傷つかないで そのまんま変わらないでいてくれないかな」と想うシーンがあって、今までの積み重ねからのその吐露の少しのエゴと好きを飛び越えた愛情に近い気持ちに、うお〜〜〜ん!と胸を掻きむしる思いなのであった……。「恋とか愛とかじゃない」人間と人間とのこういう関係性にとっても弱い。続きが楽しみな漫画がまた増えた。うれしい。