アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

【漫画ログ】ゴールデンカムイ最終話314話感想

白石やりやがった!!!
という感情と、
ヴァ……ヴァ……(ヴァ、ヴァシリおまえ生きとったんか~~!!)
という感情でもうグチャグチャ。

尾形とヴァシリ、月島と鯉登。この二組の関係性が好きだった私からすると、最終回で公式から最大の供給を投下されて心がどうにかなりそう……。ファンブックの『本当は美術学校に通いたかったけど家が貧しくて行けなかった』というインタビューからのあのキャラクター像、ヴァシリの生涯がすべて見えたようだった。正直、尾形が誰にも偲ばれず孤独に死んでいったことに一抹の虚しさを感じていたので、きっとヴァシリが弔ってくれたんだろうと想像できるあの1コマに衝撃を受け、そして安心しました。結局狙撃手としての対決は引き分けだったんだなと、それもアツい。
月島と鯉登はまじでなんも……言うことがない……(放心状態)。でも言う。最終的に月島か鯉登どちらかは死ぬだろうなと、そしてそれは八割の確率で月島だろうと思っていたのに。死亡ルート必須尾形が絶望するほどの生存ルート開拓能力持ちじゃん、月島。月島は、意識が死に向かっているというよりは、死刑囚を受け入れていたように「生存にいっさいの未練がない」状態のように思えたので、鯉登の薩摩隼人SSRスーパー光属性のおかげで引力が発生したイメージ。

個人的に杉元とアシリパさんの関係は、アシリパさんからはほんのりとした感情を匂わせつつも、杉元からは色恋ではなく、アシリパさんを一人間として最大限尊重し、保護者目線の意識しかないことを美徳と思っていたので、最終的にあくまで「相棒」としての約束をもってして二人の関係が収まったことにちょっと感動してしまった。この作者は常に全方向に気を遣って書いていたんだなぁと思って。
過去、「金塊が見つかったら故郷に戻って好きだった人と暮らすのか?」と、わりとストレートに質問をしたアシリパさんに対して「金塊が見つかったとしてもアシリパさんが事件について納得できるまで相棒のままでいるよ」と答える杉元に、「聞きたかった答えはそういうことじゃないんだけどな…」って気持ちを抱くアシリパさんの心情にウワア~って胸がぎゅうぎゅうにつらくなったから、「故郷に帰ろう」という杉元の言葉を聞いたアシリパさんのあの笑顔が本当にうれしくて、またウアアア~~! 3年後に肩を並べて歩く2人の縮んだ身長差にもン"……! ともなった。

白石というキャラクターは特殊能力持ちでだけど戦闘で強いわけでもなく(作中で一人も人を殺してない…?)、誰かを見守る立ち位置であることも多かった。人の死に対して感情をあらわにして、物語の上で読者の代弁者の役割を担う非常に重要な人物で、なおかつラストのオチをかっさらうってマジで仕事のデキる男だった、最高。終盤で「俺だって(杉元やアシリパに)そこまで信頼されているわけじゃない」と心情を吐露する白石に、せつなさ爆発して持ってかれそうになったこともある。個人的に好きなアシリパさんは、谷垣に「フチに会う夢を見たと伝えて」とことづけるところ。子供の嘘って言い訳に使われるイメージなので、誰かを安心させるための優しい嘘をアシリパさんはもうつけるんだと思って。