アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

君が降る日/島本理生

君が降る日

君が降る日


文庫で読みました。島本理生さんの文庫の「君の降る日」を読み終えました。恋人が亡くなった話の「君の降る日」、五年モノの彼氏に振られた話の「冬の動物園」、男女の友情がテーマの「野ばら」、という一応失恋をテーマにした短編三作収録なんですけど、最後の「野ばら」というお話にドカーーン!とやられてしまいました。ドカーーンって程大げさじゃなくて、読み終えた瞬間「ブルッ」とくる感じ…突っ伏してうああーーーと唸りたくなる感じこれ、久々だった。余韻が凄い。島本理生侮り難し、恐ろしき作家さん!ほんと!ハアッ(感嘆のため息)表題のお話がなかなかヘビーな内容なので、二作めは割と軽い気持ちで楽しく読めるから嬉しい。これ、二作めがなかったらかなり辛い一冊だと思いました…個人的に。

なんだろうなあ、これはこっち、あれはそっち、って簡単に言葉にして振り分けできないはずの人間の感情を、こうも的確にそれでいて綺麗な言葉で表現できるのって何故なんだろう。才能?食べるモノが違うの?この気持ちがこんな名前のついた感情だなんて気がつきもしなかったものを目に前に突きつけられる。綺麗な言葉っていうのはただ綺麗事だってんじゃなくて、ちゃんと生々しい汚い想いも含んでる。簡潔でだからこそ美しい。回りくどさにも意味がある。ああ好きよ。好き…。