アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

月島軍曹

月島軍曹のことをたまに考えては胸がぎゅ…となる。このぎゅ…の正体は、自分の身に降りかかったとしたらとてもじゃないけどやってられない、という絶望に近い気持ち。残酷な真実を告げられるより、振り回されて心底疲れて、もうどうだっていいや、と考えるのを放棄するまで疲弊した心を思うとつらい。鶴見中尉の属性ってやっぱり「愛」だよね。どの形の愛も利用するし把握するし、飼い慣らす。
この前寝る時にふっと、もし今(ストーリの中腹で)、月島軍曹の前にいご草ちゃんが現れたとしたら、任務の何もかもを投げ打ってただ彼女の手を取って、今度こそ本当に駆け落ちするだろうか、と想像したらせつなさキツ過ぎてゲー出そうになった。あの軍服姿のまま全速力で駆け出す月島を想像して想像力で死んだ。たぶん驚いて、高揚感で笑みがこぼれて、涙が出てという、例えるなら有名な映画「卒業」のラストシーンを想像した。あの、興奮が過ぎ去った後に行く末を不安に感じるふたりの表情は、昔見た時は上手く理解できなかったな。

叶わなかったからこその if だからどうしようもないんだけど、どうしようもない絵空事をどうしても考えちゃうよね~~。っていう。救いようのないせつなさでたまに殺されたい。ので「AIの遺伝子」の1話をまた読む。物語の導入と登場人物の関係性紹介も入れた40Pでこの完成度は完璧すぎる。「感受性豊かなヒューマノイドの助けは借りない。非情な人間様にまかしときな。キーを叩きだけの簡単な仕事だ」って須堂先生のセリフがかっこよすぎてハマったなぁ。わかりやすいニヒルなキャラ設定が好き。