アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

「ぽろぽろドール」豊島ミホ/ 「ポースケ」津村記久子/ 「五年前の忘れ物」益田ミリ/ 「俺俺」星野智幸

ぽろぽろドール

ぽろぽろドール

「ぽろぽろドール」豊島ミホ
読み終えた日:2014/10/23
★★★☆☆
弱者を描くのが上手い。「手のひらの中のやわらかな星」の、主人公が憧れてるギャルのクラスメイトが、最後まで主人公には興味を持たないところが良かった。こうやって勝手に憧れてた同級生って私にもいたなぁって懐かしい気持ちになった。「きみのいない夜には」唐突なラスト、だけどこのラストがすごく素敵だと思った。「僕が人形と眠るまで」すごく救いがなくつらくて悲しい。切ない。だけど一番心に残った短編だった。
 

ポースケ

ポースケ

 
 「ポースケ」津村記久子
読み終えた日:2014/10/22
★★★☆☆
相変わらず短編集面白い。「苺の逃避行」と「我が家の危機管理」が好み。形の無い感情を表す語彙力がすごく高くてびっくりする。
 

五年前の忘れ物

五年前の忘れ物

 
 「五年前の忘れ物」益田ミリ
読み終えた日:2014/10/15
★☆☆☆☆
益田ミリさんファンでも、これは読んでおかなくてもいいかなという一冊。やっぱりこの人はマンガのあの形態が面白いのであって、小説としてはイマイチ。女性の内面を描くのが上手い。逆に男性側のキャラクターに一切魅力がない。マンガだとイラストがあるからあれでもちろん面白いけど、小説になると全くひどい。中身も文章もスカスカだし、いつものマンガでお願いします…!というファンのお願いでした。
 

俺俺

俺俺

 
 「俺俺」星野智幸
読み終えた日:2014/10/10
★★★☆☆
主人公自身がだんだん無意識のうちに他の人に成り代わっていくことに気づかないのが怖かった。どれが俺でどれが俺じゃないのか?今しゃべってるのは俺なのか?混乱してきて怖い。自分の頭がおかしくなりそうな恐怖にとらわれてページをめくる手が止められない。それだけに、終盤が残念すぎる。カニバリズム?バトルロワイヤル?ラストの締め方もなんなんだろう…中盤までは良かった。