アルパカの右にならえ

邦画と小説をこよなく愛する創作ヲタク。

【邦画ログ】「空白」

邦画「空白」を観ました。
常に誰かが怒っていて、誰かが謝っている映画だった。間違いなくここ最近の邦画の中でナンバーワンだと思う。そんなに数観ていないけれど。
冒頭の車の事故のシーンが、もう映画史に残る悪趣味さ・残忍なえげつなさだと思う。描写としては、ダイレクトにグロいのではなく、想像力に殺されるタイプ。この冒頭のシーンのためだけに観てよかったと思う。それだけでPG12に納得。こんなに悪趣味なタイトルバックを私は知らない。なにを見てどう生きてきたらここまで最悪なオープニングが撮れるのだろうとゾッとした。タイトルの赤が忘れられない。パンフレットの表紙と裏表紙の景色に気づいた時もう一度ゾッとした。
事故の加害者の親と被害者の父親が対峙する葬儀のシーンではグチャグチャに泣いた。圧巻だった。母親のあの言葉を聞いて打ちのめされてしまった。藤原季節はすっごいすっごいいい役で最高だった、ほんと。マスコミの人間を追い払うところでグッときた。描いた絵の感想を話すシーンも好き。なんかもうドッと疲れすぎて、映画館の帰りのエレベーターで乗り合わせた同じ映画を観た人たち、無言。